Vol.61|知的財産戦略の総合サポート

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何のためにその商品やサービスが存在するか?

 統合発想法では、商品やサービスが持っている本来の目的・課題を改めて追及し、考えてみます。つまり目的・課題の新たな定義がポイントになります。今まで意識していなかった目的をしっかり再認識し、再定義することが大切です。これが技術的な課題の先取りに繋がります。その商品やサービスが持つ「目的は何か」、「それは何のために」あるのか、行なわれるのか、使用されるのかを何段階か重ね、本来の目的を抽出するのです。つまり、誰でも思いつく目的から、順次上位概念の目的を抽出します。先の電話番号案内サービスにおける「電話番号を知りたい」から、本来の目的である「電話番号のわからない所に電話を掛けたい」を導き出し、意識することです。

 

 この目的展開と本来の目的の抽出は、何回か、対象となるものを代えて、グループのメンバーと一緒になって身をもって体験することが大切です。体験することで身につきます。理論ではなく暗黙知の世界に近いものです。特に注意すべきことは出された目的の上位/下位の関係の微妙な差を意識して何回か並べなおして見ることも重要です。メンバーで討議しながら、上下を移動しながら張り替え、少しでも飛躍があったら、間を埋める目的を追加してゆきます。なるべく細かく展開して見てください。細かい展開の中にピカリと光る目的が出てくるものです。ほとんどのテーマが、最終的な目的を見ると世の中を良くするとか、人生幸せのためにといった目的に収斂します。最終的に再定義する目的は、中間に位置する目的を選ぶことになります。あまりに上位過ぎると、テーマからかけ離れすぎますし、近い下位の目的では現状の延長線を逸脱できないことになるからです。

発明を見つけるための統合発想法

 メンバーで初めて行う場合には、各人で、当初考えられる目的、その上の目的、さらにはその目的は何のためにあるかと三段階、慣れれば五段階位展開したカードを数分で作ってもらい、次に各自の目的を持ち寄せて、グループ全体の目的を整理し、上位/下位の微妙な配置を意識しながら、展開することを勧めます。日常同じような仕事をしているグループのメンバーでも、持っている目的が多様であることがわかります。こうした作業を行うことで、メンバー間のコンセンサス形成にも役に立つのです。対象となるテーマの目的は唯一絶対のものはありません。誰が考えても同じことになる性格のものではありません。検討しているメンバーの合意で決めて行っても構いません。少なくとも殆どの方が考えている既存の目的を少しでも超える目的が再定義できれば良いのです。

携帯電話を例に目的展開したものですが、本来の目的が定義できれば、新たな発明を生み出す可能性を秘めた目的・課題を意識したこととなり、その課題を解決するためのさまざまなアイデアが出てくるものです。新たな目的定義をどの段階にするかで出てくるアイデアは異なります。そこでアイデアの組み合わせを検討し商品なり、サービスなり、ビジネスのモデルを追及するのです。おそらく複数のアイデアや商品の概念が出てくる筈です。

携帯電話機の目的展開

本内容はJPDSから発行された書籍「企業活動と知的財産~なぜ今、知的財産か~」から一部抜粋して知的財産の基礎的な知識をお伝えしています。



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