Vol.22|知的財産戦略の総合サポート

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企業活動と知的財産活動

 企業のビジネスの内容、つまり業態により、知的財産に対する考え方や取り組みは変わります。また個別の企業の事情によって異なることは当然でしょう。
 図の「知的財産と企業活動」は、自社で開発して製造・販売したり、様々なサービスを行っているタイプの事業を進めている企業での知的財産管理についてみています。

企業活動と知的財産管理

 企業活動は、自由に設計して製造できて、自由に売ることができることが望まれます。そして、安定した継続的な営業活動が図れ、一定の事業収益が確保できることが理想的でしょう。このためには知的財産に対するリスクマネージメントが求められます。多くの企業では知的財産のリスクを最小限にするために、大きく3つの活動がなされています。
 第一は「知的財産権の確保」です。ヒト・モノ・カネ、さらに情報を駆使した研究や開発を行った企業活動の中で生まれた技術や、得られた成果の保護です。ユニークな製品・商品を保護するための権利の確保です。独占禁止法の例外として国家が認めている排他的な独占権を確保することです。研究開発の成果である自主開発した技術の保護が重要になります。
技術的なアイデアであれば、特許権や実用新案権を確保することです。また、商品のデザインは意匠権で他者の物まねを排斥して保護します。
企業が顧客に対する営業活動や商品提供で培った信用ともいえるブランドは、商標権として保護することを目指します。
 第二は、こうして確保した権利の活用です。自ら確保した知的財産権をどのように活用するかという観点です。まずは独占権としての活用を考慮しますが、事業戦略と競合相手の知的財産権とのバランスで、権利の活用の仕方が変わることになります。場合によってはライセンスをして収益の確保を図ることもあり得ます。
 第三は、他人の独占権に対する対応です。権利を巡る争いは最終的には裁判まで持ち込まれるおそれがあり、しっかりとした紛争防止対策が必要になります。未然に他者の権利に対する対策を練るためには、まずは他者の独占権が存在するのかどうか調査把握することに始まります。そして権利が確立している場合には、その権利を排除するための対策として、権利を無効化できる証拠の調査や無効審判などの対策が考えられます。
権利を認めざるを得ない場合は、他者の独占権を回避するための対策も必要になります。独占権に対処することは企業活動の生死をわけることにもなりますので、リスクマネージメントを商品の企画、研究開発段階からしっかりと立てていくことが望まれ、企業の知的財産権は企業トップから開発技術者まで、各立場でしっかりと意識して行かないとビジネスの存亡につながることになります。
最近のスタートアップやベンチャー企業の中には、ユニークで顧客のニーズを先取りした独自のビジネスを創出してきたのにもかかわらず、マーケットの拡充により体力・資金力のある企業の参入を許してしまうケースも見受けられます。
特許などの独占権の取得や権利の活用などを軽視してしまい、得られる利益を喪失してしまうことが無いように知的財産活動にも目を向けるように心がけることが大切です。

本内容はJPDSから発行された書籍「企業活動と知的財産~なぜ今、知的財産か~」から一部抜粋して知的財産の基礎的な知識をお伝えしています。



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