Vol.17|知的財産戦略の総合サポート

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特許出願に必要な書類

 発明を特許権にするためには、特許庁に発明の技術的な内容を説明した書類を提出しなければなりません。
図は特許出願に必要な書類を示しています。「特許願」に「明細書」、「特許請求の範囲」、「要約書」、必要に応じて「図面」を添付して、インターネットまたは郵便で送付するか、特許庁の窓口に提出します。
「特許願」は願書ともいわれ、特許庁に書類を提出した日、出願人や発明者の住所氏名、連絡先の電話番号などを記載し、提出物件の名前を書きます。これが特許出願書類の表紙になるのです。図には主な項目を示しております。
「明細書」は、発明の技術的な内容を説明します。明細書は「その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者」が理解できるように書くことが求められています。 当業者ともいいますが、その発明の分野の技術を理解できる一般的な技術常識(知識)を持っている人であれば、誰でもこの明細書を読むことで、発明が再現できるまで具体的技術内容を書くこと(開示といいます)が求められます。

特許出願に必要な書類

以下に、明細書に記載すべき事項を示しています。明細書には発明の「目的」、「構成」、「効果」を記載します。

①  そもそも何に使うのかといった発明が属する【技術分野】を書きます。


②  つぎに、何を解決したいのかという必要性、課題・目的を書きます。この目的を説明するために、一般的には今回の発明に一番近い従来の技術【背景技術】を説明し、この従来技術の問題点を指摘することで、発明の目的をクローズアップします。このとき、従来の技術が掲載された【先行技術文献】として、「特許文献」や、学会誌などでの文献や単行本「非特許文献」などを明確にすることが求められます。
いよいよ【発明が解決しようとする課題】を書きます。


③  どのようにして課題を解決したか【課題を解決するための手段】を書きます。ここではまずは「特許請求の範囲」に記載した技術(発明)を書きます。


④  次に【発明の効果】を記載します。効果は従来の技術よりいかに優れているかを発明ごと(請求項ごと)に記載しておいた方が良いでしょう。発明の効果は必須の項目ではないのですが、発明の進歩性を明確にするために書いておくべきです。


⑤  続いて、その発明の具体的な技術内容について、具体例を挙げながら実施形態を説明することになります。【発明を実施するための形態】ですが、当業者がその発明を実施できるまで明確に記載することが求められます。この説明には図面が必要であれば、図面を使ってわかりやすく説明します。より詳細かつ具体的なやり方を書く場合には【実施例】として書きます。また、発明者が一番望ましいと思われるベストモードを必ずこの実施形態に示すことで、最終的に権利の範囲を縮減するときに役立ちます。数式や化学式とか表を使った説明を明細書の中に記載することができますが、文字情報で表現できないものはスキャナなどで読み取り、挿入することができます。この場合には【数式1】、【化学式1】、【表1】のように連続番号を付与します。


⑥  発明が産業上どのように使うか明確でない場合には、具体的な利用方法や適用できる分野を【産業上の利用可能性】として書きます。当業者なら利用方法や分野が分かるものであれば、改めて記載しなくても良い任意の項目です。


⑦  図面は必須ではありませんが、今回の発明や、背景となった従来の技術を説明するためには文章だけでなく、なるべく図面を使ってわかりやすく説明すべきです。図面を使った場合には、【図面の簡単な説明】および図面に使用した数字や記号は【符号の説明】として記載します。
「特許請求の範囲」は独立した文書であり、特許権を受けようとする発明の技術範囲を書きます。発明を実施するために欠かせない最低限必要な構成や要素を記載し、権利の範囲を明確にします。
「図面」は明細書とは別文書で、横170ミリメートル、縦255ミリメートルのサイズを超えることはできません。線の太さは実線0.4ミリメートル、引き出し線・点線・破線は0.2ミリメートルの太さに決められています。図面に説明を記載することは原則として認められませんので、数字またはアルファベットなどの符号を使い表現します。図面はモノクロのトレース原稿を二値のスキャナで読み込みます。また写真の使用は原則としてできません。顕微鏡など細かい表現が必要な場合には例外的に認められます。
「要約書」には400文字程度で、発明の課題や解決手段などの発明の概要を書きます。さらに発明を端的に示す代表的な図面の番号を記載します。
明細書の構造を図示します。

明細書の構造

本内容はJPDSから発行された書籍「企業活動と知的財産~なぜ今、知的財産か~」から一部抜粋して知的財産の基礎的な知識をお伝えしています。



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