Vol.6|知的財産戦略の総合サポート

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企業を巡る知的財産環境

 こうした時代背景を踏まえ、知的財産への企業の取り組みや考え方が変化してきているのです。図に知的財産をめぐる環境の変化をまとめました。

知的財産をめぐる環境の変化

 大きな要因としては、1980年代に米国のレーガン政権下で始まった知的財産権の保護・強化政策であるプロパテント政策があげられます。具体的には、1982年の特許関連裁判制度の見直しに伴い知的財産関係の訴訟を取り扱うCAFC(連邦巡回控訴裁判所)が設けられ、1988年の知的財産権保護が不十分な国への制裁措置を定めたスーパー301条を含む包括貿易法が成立し政府を挙げての知的財産強化策が打ち出されました。こうした施策の背景には米国の産業構造変化があげられ、結果として知的財産の保護強化がなされて、権利を持っている者を尊重する傾向が強力に進むことになったのです。
 こうした米国のプロパテント政策に伴い、知的財産をめぐる紛争や裁判が増加しました。裁判所の判断でも権利者優遇の判決がなされるため、権利主張が強まり、特許係争事件が多くなってきました。さらに確定している権利を尊重するあまり損害賠償や、特許権の実施に伴う対価である権利実施料率が高騰する傾向が顕著になってきました。この権利者に有利な傾向を受けて、さらに係争件数が増加するというサイクルが現れたのです。
 その結果、ビジネスを進めるうえで、知的財産についての取り組みを意識しないで進めることが困難になってきたのです。このように知的財産をめぐる企業の考え方が徐々に変化し、グローバルな観点で知的財産に対する取り組まねばならない必然性が高まり、企業経営層をはじめ企業を構成する人々に大きな意識改革を迫ることになりました。こうした動きは、知的財産についての仕事を知的財産の専門家だけでなく、企業のトップ層から研究開発部門を巻き込み、専門家任せではなくビジネスを推進する多くの人々がそれぞれの立場で知的財産を意識せざるを得ない状況になってきたのです。

本内容はJPDSから発行された書籍「企業活動と知的財産~なぜ今、知的財産か~」から一部抜粋して知的財産の基礎的な知識をお伝えしています。



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