Vol.69|知的財産戦略の総合サポート

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研究開発と知的財産

 知的財産への目覚め、気づきともいえる持論を述べましたが、研究開発技術者が自ら目覚めることは、そう簡単ではありません。

多くの企業では、知的財産は専門部門があればそこに任せるか、外部の弁理士さんに委託することが普通だと思っている節があります。

ある企業では50年近く前から強力なキャンペーンを張って啓蒙・啓発に努めていても、浸透と継続は難しいことで、未だにリフレッシュしながら継続的な啓発がなされ終ることはありません。

 

 企業のトップ層が目覚めて知的財産の強化を進めていても、日常業務に追われてしまい、知的財産は後回しということは、よく耳にすることです。また、特許権侵害事件を経験すると知的財産意識の強化が図れるが、のど元過ぎれば話題にもならなくなる風潮は確実にあります。

 

 しかし、企業では情報収集や、今後の研究開発に役に立つ活動であると目覚めれば,お願いしなくても知的財産を考えて来るようになったという話は沢山あります。大学ではある特許出願について、他に適用するようなところは無いか、例えばということでお話のきっかけを与えるだけで、大学院生のテーマが10近く出てきたと教授に喜ばれ、教授から学生にも知的財産活動の話をすべきだと強く勧められた経験もあります。

つまり、本来の研究や開発の仕事が、自らの業務と切り離せないことに気づけば、日常の仕事の中で浸透してくることは間違いありません。

 

 ゲームや情報技術(IT)系の企業では、技術のオープン化ということで、新技術は参入企業の共有財産だとした見方で、独占権を取得し、権利行使することは、罪悪だとまでは言わないが、避けるべきだという風潮もありました。技術の標準化や共有化の後ろには、必ず特許権があり、問題が発生すれば権利主張が顕在化してくることは歴史が物語っています。つまり、ビジネスでも標準化のグループでも、バランスが崩れると必ず独占権を持っているところが主張をしてきます。

 

 研究開発に携わる人が、情報収集と自らの開発成果を製品サービスだけでなく、知的財産権としてまとめて行くことは開発と表裏一体であることに気づいて頂ければ、業務の効率化に貢献することは間違いないと思います。 

 

 

以上

 

重田  暁彦

本内容はJPDSから発行された書籍「企業活動と知的財産~なぜ今、知的財産か~」から一部抜粋して知的財産の基礎的な知識をお伝えしています。



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