日華化学 社内外コミュニケーションにおけるNewCSSの活用
日華化学株式会社は国内外において事業戦略に対応した細やかな知財ポートフォリオ構築を実践すると共に、オープンイノベーションの積極推進による知財を活用したビジネス創出など、知的財産制度を有効活用する企業として評価され令和7年度の知財功労賞を受賞されました。
日華化学株式会社が特許に関して日頃、研究員を中心にどのようなコミュニケーションをとっているのか、NewCSSの活用状況を交えながらご紹介いただきました。
本記事のハイライト
日華化学とは
日華化学は、福井県に本社を構える活性剤メーカーで、80年以上にわたり蓄積してきたコア技術である「界面カガク」を基盤に事業を展開しています。「化学品事業」と「化粧品事業」を二本柱とし、産業用途から生活領域まで幅広く製品を供給。衣類の加工からヘアケア製品まで、人々の暮らしに密接に関わるソリューションを提供している点が特徴です。
- 化学品事業
- 繊維化学品、クリーニング&メディカル、特殊化学品・機能化学品、先端材料
- 化粧品事業
- 美容室専売 ヘアケア剤、スタイリング剤、ヘアカラー剤、パーマ剤
特許の出願状況は年間約30件で日本と海外の出願比率は半々にまで高まっています。NewCSSの結果一覧マップで可視化してみました。

顧客とのコミュニケーション
日華化学は、研究開発型企業であり、「クローズからオープンへ・モノ作りからコト作りへ」と移行していくため、福井の地に「ひっきりなしに人がやってくる」施設を目指し、2017年にNICCAイノベーションセンター(NIC)が完成。単なる研究施設というだけでなく、顧客や大学・研究機関、地域とのオープンイノベーションによる新たな価値創造を目指しています。

このNICから生まれた成果例として、「非フッ素系撥水剤」(日華化学×ダウ)、「ネオクロマト加工®」(日華化学×エレファンテック)、「スカルプケア DEMI DO」(デミ コスメティクス×理化学研究所)等があげられます。
その中でも「ネオクロマト加工®」の技術はベンチャー企業、メディア等との様々なご縁があり、上市を実現するとともに、令和6年度近畿経済産業局長賞、令和7年度知財功労賞 特許庁長官表彰を受賞するなどの実績につながっています。これらの受賞は経営層に知的財産活動のアピールの場、研究開発部門のモチベーション向上として大きな効果をもたらしました。

経営とのコミュニケーション
経営戦略に知財を活用するために、知的財産部門と経営層とのコミュニケーションは欠かせません。現在、知的財産戦略部は界面科学研究所に所属しており、化学品部門と化粧品部門の両方の研究を管轄しています。知的財産戦略部が参加する会議はイノベーション推進会議、研究発表会、各部門の連絡会を含めて多数あり、研究発表会では社長から特許出願に関する確認が毎回行われています。
こうした取り組みにより、「技術は守るべき」という風土は日華化学全体に根付いています。その結果、知財活動を円滑に推進できています。なお、令和7年度は日華化学社長の江守氏が福井県発明協会の会長を務めています。
研究とのコミュニケーション
研究部門と知的財産部門のコミュニケーションは、月例の会議や、カフェスペースで知財部員が常駐し、「特許相談会」を実施しています。また、各研究グループに最低1名の特許リエゾン(研究特許担当者)を配置し、円滑なコミュニケーションを狙っています。また、NewCSSを活用した業務コミュニケーションも実施しています。
NewCSSとは
JPDSの提供する全社向け特許情報検索サービスでJP-NETの上位サービスにあたります。ユーザーと検索・公報サーバーの間に独自サーバーを設置することにより、パテントデリバリ(SDI)や、社内分類の付与・共有など、自社独自の情報を高いセキュリティを保って活用することができます。
まず、SDIと経過情報ウォッチングです。NewCSSを利用して、公報の定期配信を技術分野単位で実施し、各担当者に新着情報を見てもらいます。ここではきちんと見てもらうための指標として、月に2時間以上のNewCSSの接続をしているかをチェックしており、これを下回る方にはきちんと情報を見るようにアラートを出しています。経過情報ウォッチングは研究員のSDI情報等からの申請からスタートし、常時NewCSSにて配信が届くように設定しています。動きがあった時は、研究員のウォッチ理由に対して、知財部の見解を付してフィードバックしています。
次に、実際の研究員がNewCSSで検索する場合は、検索後の結果一覧画面で表示できる「結果一覧マップ」について、「とりあえずクリックしてみて?!」と推奨しています。自分が検索した結果にどのような出願人や分類が入っているのかが一目で分かるため、非常に便利で効果を発揮しています。また、研究員からの調査結果については、必ずNewCSSのExcelでダウンロードした調査結果ファイルを添付し、見解を記載することになっています。Excelには調査したリストに加え、必ず検索式が入るようになっているため、研究員がどのような検索式で調査をしたかを把握し、知財部が追加で調査を実施する必要性があるかの判断にも重要な役割を果たしています。

最後に、研究員からの調査依頼を知財部から実施する場合、調査依頼が非常に多いため、いかに調査を効率化できるかが重要なポイントとなります。ここではNewCSSのハイライト機能や文書整形機能を活用することで、効率的なスクリーニング業務が可能になっています。また、新しく機能化されるAI要約の機能などは、今後どこまで効率化につなげられるかという点で期待しています。

まとめ
日華化学では、顧客だけでなく研究・知財・経営の各部門間におけるコミュニケーションを重視し、組織横断での連携強化に取り組んでいます。こうした取り組みの中で、NewCSSを活用した情報共有と可視化を推進することで、知的財産活動の質とスピードの向上を実現しています。これにより、全社的な知財意識の醸成とイノベーション創出を加速し、持続的な価値創出につなげています。
取材協力:日華化学株式会社 知的財産戦略部 部長 亀岡 郁雄様
会社紹介
- 会社名
- 日華化学株式会社
- 創業年月日
- 1941年9月15日
- 本社所在地
- 福井県福井市文京4-23-1
- 事業内容
- 繊維加工用界面活性剤、金属、製紙、塗料、染料、合成樹脂用界面活性剤、クリーニング、業務用洗剤、化粧品・医薬品
- URL
- オフィシャルサイト:https://www.nicca.co.jp

※本内容は公開時点(2026年6月)の情報です
※本内容はJPDSフェア2025の発表内容を元に作成しています
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