知的財産戦略の総合サポート

マルハニチロからUmiosへ! ~マルハニチロの知財活動とJPDSサービスの活用~

マルハニチロ株式会社における知的財産部門立ち上げの経緯と活動の成果、そして「Umios株式会社」への社名変更プロジェクトに参画した経験等を、JPDSサービスの活用事例を交えてご紹介いただきました。

 

マルハニチロの取組み

マルハニチロの事業

マルハニチロは、「海といのちの未来をつくる」という理念のもと、世界中の食卓へ安心・安全で価値ある食を届ける総合食品企業です。1880年の創業以来培ってきた水産事業を基盤に、原料調達から生産、加工、流通、販売まで一貫したバリューチェーンを構築し、国内外で幅広い事業を展開しています。

この事業活動の根底には、「私たちは誠実を旨とし、本物・安心・健康な「食」から広がる豊かなくらしとしあわせに貢献します」というミッションがあります。

マルハニチロの企業概要のイメージです。

Umiosへの社名変更、社名に込めた想い

マルハニチロは、2026年3月1日付で社名を「Umios株式会社」へ変更します。社名変更の背景には、「食を通じて社会課題を解決するソリューションカンパニー」への変革を加速させるという強い決意があります。新しい企業アイデンティティのもと、ステークホルダーと共創しながら持続的成長を目指します。また、世界に羽ばたくにあたり「日本」というルーツも大事にしたい、「umi=海」という言葉を世界共通語にしたいという想いも込められています。

 

社名変更と同時に高輪ゲートウェイシティへの本社移転も公表しました。この場所は100年先の心豊かな暮らしのための実験場と位置付けられており、ここに身を置くことで「ソリューションカンパニーへの変革」を加速していくことを目指しています。

新社名の「Umios」ロゴ
コンセプトは「BLUE PLANET」。

青い部分は海を、白い部分は拡張していく新たな領域を表している。

マルハニチロの新社名「Umios」のロゴ。

マルハニチロの知財活動とJPDSサービスの活用

知的財産部門立ち上げとその後の成果

マルハニチロでは、かつて中央研究所に特許担当者がいるだけで、全社的な知財組織は存在していませんでした。2012年、特許担当として着任した初谷氏は、社内に知財の重要性を根付かせるべく、業界団体やセミナーでの情報収集を重ね、その知見を社内へ継続的に共有する取り組みを進めました。こうした地道な活動が実を結び、2014年には特許業務が本社へ移管され、2018年には知財グループが正式に設立されました。

 

組織発足後は、多彩なバックグラウンドを持つ人材を積極的に迎え入れ、特許・商標など専門特化せず、事業分野ごとで担当する事業担当制を採用。さらに、全社向けの教育・啓発活動にも力を注いできました。

その結果、出願件数の増加や、特許を活用した製品の売上拡大といった具体的な成果が表れています。加えて、地方発明表彰で2024年度に北海道発明協会会長賞をはじめ合計3件、2025年度に特許庁長官賞、発明協会会長賞の2件受賞を果たすなど、社内外から高い評価を得る組織へと成長しています。

取り組みの結果、出願数と特許を使用した製品の売り上げのグラフ。出願が増加し、特許を使用した製品の売上が増加。

取り組みの結果地方発明表彰を受賞。2024年度は3件同時受賞。

JPDSサービスの活用状況

マルハニチロでは、2013年に特許検索ツール「JP-NET」を導入して以来、「かんたん検索」「JP-NETWeb」などを事業部門や研究者にも広く展開し、知財情報の活用基盤を整えてきました。現在は、全社向け特許検索サービスである「NewCSS」へ移行し、ID管理から同時接続数管理へ変更したことで、グループ会社を含めたスムーズな全社展開が可能になりました。

 

さらに、特許情報分析の「ぱっとマイニングJP」や、国内外の商標調査を行う「Brand Mark Search」など、JPDSの各種サービスを活用し、知財活動の高度化と効率化を進めています。

 「NewCSS」を活用した主な取り組み

①SDI新着公報配信(パテントデリバリ)
テーマ別に設定したSDIを、事業部門や研究開発部門へ定期的に配信
・最新情報を迅速に共有
・開発担当者からの問い合わせが増加し、侵害リスク検討や出願機会の創出につながる好循環を実現
②社内分類付与
技術領域に応じて事業部門名などをキーワードとして分類付与、要注意特許にも独自分類付与
・検索式作成の負荷軽減・スキル差による検索精度のバラつきを解消
・競合比較や経営説明が容易になり、戦略立案の質が向上
③AIソート等の検索サポート機能
関連性の高い特許を自動整理・抽出し、一覧表示
・大量件数の調査において、作業時間を約半分に短縮
・効率的で精度の高いリサーチが可能に

マルハニチロでは、欧州、アジア、北米など地域特性に応じた最適化を図る「グローカル戦略」を推進しており、今後は、地域ごとの知財情報の連携、係争・模倣リスクの管理、等の取組みが重要になってきます。自ずと海外特許の調査・分析の重要度も高まります。JPDSサービスはその情報基盤を支えるパートナーとしてサポートしていきます。

NewCSSとは
JPDSの提供する全社向け特許情報検索サービスでJP-NETの上位サービスにあたります。ユーザーと検索・公報サーバーの間に独自サーバーを設置することにより、パテントデリバリ(SDI)や、社内分類の付与・共有など、自社独自の情報を高いセキュリティを保って活用することができます。

社名変更における知的財産部門の役割と商標調査

マルハニチロの社名変更のプロジェクトには、発足と同時に知的財産部門が参画しました。国ごとの重要度設定、商標制度の特性をふまえた優先順位を付けた商標調査、調査結果を経営陣へ分かりやすく伝えるなど、難しい点は多くありました。こうしたプロセスを通じ、知財部門の専門性と価値について社内へアピールすることができました。さらには、ドメイン確保の検討等、知財業務の枠を超えた業務経験にもつながりました。

 

プロジェクトでは、JPDSの商標検索サービス 「Brand Mark Search」 を活用して求められる情報を迅速に提供でき、多国展開を見据えた商標調査において、スピードと精度の両面から貢献しました。

プロジェクトでのBrand Mark Search活用例

広範囲の商標調査に対応
J-PlatPatにはない区分単位の調査で、広い範囲を効率的に検索できた
主要国を一括検索・スクリーニング
国別データベースを個別に確認する必要がなく、海外商標の調査速度が大幅に向上
Excel出力によるレポート作成の効率化
必要な情報を簡単に出力でき、社内共有・報告資料作成がスムーズに

Brand Mark Search」の導入時に期待していた効果

<各国データベース利用時の課題>
<Brand Mark Searchでの解決>
検索設定と検索条件の保管
細かい検索条件があり、検索式保管・履歴保管もある
調査結果の共有
Excelファイルに必要な情報を選択・出力して共有可能
画像商標の検索精度
図形分類調査支援とAI類似画像検索の併用
海外商標(特に中国)の検索
日本と同様のインターフェイスでの海外・アジア検索

Brand Mark Search活用事例。JPlatpatよりも細かい検索条件を設定でき、検索条件も保管できる。公開登録公報を抽出し、Excel出力して事業部へ配信。管理マッピング機能。画像検索機能。海外対象国での調査案件(特に中国商標のスクリーニング)。

Brand Mark Searchとは
「Brand Mark Search」は商標専用に設計されたUIや機能を備え、商標調査で必要な項目をコンパクトにまとめて使いやすく設計した商標検索サービスです。

海外商標オプション・アジア商標オプションを利用すれば、海外の商標も日本商標と同様の使い勝手で簡単に調査することができます。

Umios 「攻めの知財」で企業価値の最大化を推進

マルハニチロはUmiosへ変わり、食を通じたソリューションカンパニーへの変革を進めます。そこでは、企業の強みの源泉である無形資産(資源調達力、加工技術力、食材提供力)を「守りの知財」で保護しつつ、知財を「情報資産」として事業戦略へ活かす「攻めの知財」で、バリューサイクル、グローカル戦略を加速させることで、企業価値の最大化を推進しようとしています。

 

既に新たな取り組みは始まっており、これらの取り組みは短期的な成果にとどまらず、中長期の成長を見据え、知財・無形資産を経営の中核に据えることを目指しています。

 

Umiosの知的財産活動は、技術、ブランドを多角的に評価できる人材育成、外部パートナーとの協働強化を進め、従来型の知財活動に加え、提携・M&A時の知財デューデリジェンス、IPランドスケープの活用など、知財を軸にした経営参画を広げていく計画です。

 

JPDSはその活動に必要な情報、サービスの提供を含め、サポートを強化していきます。

マルハニチロの「10年後に向けた新長期ビジョン」。

マルハニチロの「10年後に向けた新長期ビジョン」

取材協力:
マルハニチロ株式会社 経営企画部 副部長 兼 知財グループ長 初谷泰夫様
マルハニチロ株式会社 経営企画部 知財グループ 課長役 早川仁崇様

 

会社紹介

会社名
マルハニチロ株式会社
設立年月日
1943年3月31日
本社所在地
東京都江東区豊洲三丁目2番20号 豊洲フロント
事業内容
漁業、養殖、水産物の輸出入・加工・販売、冷凍食品・レトルト食品・缶詰・練り製品・化成品・ 飲料の製造・加工・販売、食肉・飼料原料の輸入、食肉製造・加工・販売
URL
オフィシャルサイト:https://www.maruha-nichiro.co.jp/
社名変更特設サイト:マルハニチロは、Umiosへ。

 

※本内容は公開時点(2026年2月)の情報です。
※本内容は知財情報フェア2025の発表及び雑誌「知財情報&戦略システム」を元に作成しています。
 発表、発行日は2025年9月であり、旧社名(マルハニチロ)時の情報です。

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